忘れてはならないことがある。それは産業廃棄物の排出量が激減するということだ。資源エネルギー庁長官宣房鉱業課が監修した『鉱業便覧・平成五年版』によると、一九九一年のボーキサイト生産量は世界でおよそ一億一〇六〇万トンにのぼる。ところが、同年のアルミニウム生産量は一八六六万トンにすぎない。では、その差である九一九四万トンはどこへいったのか。アルミの精錬過程で発生するこの膨大なムダ、すなわち金属とはなりえない廃棄物は赤泥と呼ばれている。ここからブロックやレンガをつくることも可能だが、現実にはほとんどすべて海洋投棄されている。本来なら、産業廃棄物の海洋投棄を禁止したロンドン条約の関係で一九九五年から陸上投棄となるはずだったが、その量があまりにも膨大であるため免除されたといういわくつきの廃棄物である。赤泥は人体に悪影響を及ぼすようなものではない。しかし、ゴミを海洋に投棄していることにかわりはないだろう。そして投棄された海域が汚れ、一帯に生息する海洋生物の成育環境を劣化させるのは間違いない。かりに赤泥を好む海洋生物がいたとしても、それが異常発生したなら生態系に影響を与えることにもなるのである。現状では赤泥を利用した製品が商品的価値をもたない以上、環境を守るためには発生から抑制すべきなのである。そのためにはアルミ缶といえどもしっかりとリサイクルされなければならないのだ。