人間には恋愛体質の人と、そうでない人がいる。改めて言うほどのことじゃないだろうと思うかもしれないが、意外に恋愛体質の人は世の中に「生きていく上で恋愛はさほど重大なことではない」と思っている人がたくさんいることを実感できていないように思う。たとえばそれは、いつも同年代の友達と渋谷あたりで遊んでいる少女達は、日本橋に大勢のサラリーマンがいたり、巣鴨に大勢の老人がいることを実感できず、日本には若い女の子が多いと感じていることと同じだ。さらに言えば、甘いものが大好きで毎日のようにコンビニでケーキやアイスクリームを買っている甘党の人には、一年に数回しかケーキを食べない私の味覚がよく分からないに違いない。私は甘いものが嫌いなのではなく、甘いものよりも塩辛いものの方が好きだというだけだ。それでもたまに、少しだけ甘いものが食べたくなる時もあるし、人から頂いたり、誰かと食事をした時に成り行きでデザートを食べることはある。それと同じで、恋愛体質でない人も、一生のうち何度かは恋愛をする。しかしその回数は恋愛体質の人には信じられないほど少ない。私は若い頃かなり恋愛体質だったので(味覚の方は辛党だが)、そのことに気がついたのは三十歳を越えてからだった。それまでは恋愛体質でない人を、心のどこかで「もてない可哀相な人」と思っていた節が正直あったのだが、今は「恋愛をしなくても充実し、安定して生きていける人」として、本当にうらやましく思っている。恋愛はすごくいいものだ。けれど、すごく疲れるものでもある。