七月、Mははじめてプレゼントされた私服を着て、写真を撮った。赤いタンクトップとおそろいの半ズボンを着て、野球帽のような形をしたツバの広い麦わら帽子をかぶり、赤い靴をはいた姿は、まるで人形劇に出てくるトッポジージョみたいでかわいらしかった。四軒目の子ども服店で私かようやく探し求めたMヘのプレゼントであった。そして、それだけがMの唯一の私物だった。外出するときは、それぞれ私物の洋服を着て出かけるのであったが、子どもによって服の枚数もまちまちである。一人ひとり名前の書かれた小さな衣類箱には、ときには母親が面会に来て忘れていったハンカチや、家で買ってもらったぬいぐるみやミニカーなどが入っていることもあった。そのときのMの写真をはじめ何枚かの思い出深い写真が、それから一年以上もわが家のリビングの壁面に貼られていた。Mが乳児院へやってきてはじめての七夕がやってきた。毎年、短冊には一人ひとりの子どもに、親や保育士が願いをこめて言葉を書くのである。このとき私は一枚の短冊につぎのような言葉を寄せた。「Mちゃん、かわいがってくれるお父さんとお母さんが早く現れ、いっぱい甘えられますように!」
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